【第68回】2016年、OSがパソコンの選択基準にならない時代がやってきた

昨年(2015年)の7月29日、Windows10がリリースされました。

マイクロソフト社は、このWindows10以降、「基本的にOSは無償アップグレードのみを行い、OSのパッケージ販売は行わない」としています。

つまり、今後は、アップル社が提供するiPhoneのOS「iOS」、グーグルが提供するスマートフォン向けOSの「Android」のように無料で提供されるのです。スマートフォンのOSって、有料じゃないですよね。不定期に「アップデートしてください」と表示され、アップデートを実施すると、無料で最新状態に変わるはずです。WindowsというOSも、今後は、これと同じ状況になるということなのです。

今までは、新しいWindowsのOSが発売されると、パソコンメーカーは、こぞって「最新OS搭載」パソコンを発売し、それをセールスポイントの1つにしていました。

しかし、今後は、Windowsアップデートにより、「無料」でOSを最新状態にしてくれるので、「最新OS搭載」という表現は使えないのです。

パソコン利用者にとっては、「お金をかけないで、いつも最新OSの状態を維持できる」ことは非常にありがたいことです。

しかしながら、「パソコンメーカー」はかなり打撃を受けることが予測されます。

「最新OS搭載のパソコンが発売されましたよ~!」という「ウリ」がなくなってしまうからです。

一方、マイクロソフト社は、パソコンを動かす基本ソフトWindowsというOSを作っているメーカーであり、各パソコンメーカーとライセンス契約を結んでいたり、大企業向けOSエンタープライズなどのライセンス契約もあるので、あまり打撃をうけることはありません。

ところで、なぜ、マイクロソフト社は、OSの無償提供にふみきったのでしょうか

これは、「無料からお金を生む」という経済戦略理論にのっとった行動と言えます。

iPhone のiOSを作っているアップル社、Android を作っているグーグルは、スマートフォン用のOSを無償提供しています。

スマートフォンといったらiPhoneというイメージが強いかもしれませんが、搭載OSでは、全世界規模でグーグル提供の「Android」が圧倒的なシェアをとっています。スマートフォン市場だけに関して言えば、マイクロソフト社は全く太刀打ちできていません。市場をグーグルがとってしまっているからです。

2014年のデータにはなりますが、「iOSは15%」、「Androidは81.2%、これくらい市場占有率が違うのです。iPhone人気で、2015年、2016年と、市場占有率のバランスに変化はありますが、まだまだ「Android」のシェアのほうが上になっています。マイクロソフト社なんて話にすらなりません。

パソコンのOSと言えば、「アップル社のMac OS X」と「マイクロソフト社のWindows」が有名ですが、当サイトの別記事でも紹介していますが、2009年にグーグルから「Chrome OS (クローム・オーエス)」という無償OSが公開され、現在ではChromebook(クロームブック)というパソコンすら販売されています。パソコンメーカーの「Chrome OS」搭載機もドンドン増えています。

グーグルは、「無料からお金を生む」経済戦略理論にのっとった世界戦略を積極的に推進した結果、「信頼できる世界規模の検索エンジン」に成長しました。

そして、ある時期から「お金を生む」システムを導入しています。グーグルの検索結果の上部に数行「有料の広告」が表示される「リスティング広告」が、まさにそれです。

グーグルの検索サービスがあれだけ世界規模で利用されているわけですから、「有料でもいいから、うちの店の広告を表示させてください」と希望する企業や人も多く、これがグーグルにとって「お金を生む」ビジネス・チャンスになっているのです。

マイクロソフト社は、アップル社やグーグルがすでに実行している「無料からお金を生む」経済戦略理論によるパソコンOSの無償提供の影響により、近い将来、市場をかなり奪われることを恐れて、Windows10以降は「基本的にOSは無償アップグレードのみを行う」ことを決断したと言われています。世界規模の独占市場を奪われないための苦渋の選択だったのかもしれません。

パソコンメーカーは「最新OSを搭載したパソコン」というウリがなくなるので、セールスポイントが1つ無くなってしまうことになります。

今後は、MacやChromebookを除けば、どのメーカーも「パソコンのOSはWindows 10」なので、「OS以外の機能、性能、デザイン」のほか、「サービスの充実」などがパソコン販売の「ウリ」になる時代になることが予測されます。

ただ、現実的に考えて、あっと驚くような特別な「機能、性能、デザイン」の提供というのは考えにくいので、「サービスの充実」がパソコンメーカー生き残りの「キーワード」になるのではないかと思います。

パソコンを利用する私たちにとって、パソコンメーカーの「サービスの充実」は楽しみであり、非常にありがたいことです。

頑張れ、パソコンメーカー!

パソコン購入の参考になれば幸いです。

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