【第41回】2014年、ソニーのパソコン事業売却に関する正確な情報を理解する

2014年3月現在、ソニー製パソコンの購入を迷っている方もいるようなので、正しい情報を知っていただくために、本記事を掲載致しました。

◆結論
結論を最初に述べれば、「特に迷う必要はない」になります。ソニー製パソコンを買っても全く問題はありません

「ソニー製のVAIO(バイオ)」としては、2014年春モデルが最後の製品になりますが、「Webならびに電話による技術サポート、修理対応は、生産販売終了後も継続する」と告知されています。すでにソニー製パソコンを使っている方は勿論のこと、現在販売されているソニー製パソコンを購入しても、なんら心配する必要はありません

ちなみに、当サイト管理人もパソコンを複数台所有しており、内3台はソニーのVAIO(バイオ)を使っていますが、全く心配していません。ソニーのパソコン事業部門が売却される経営方針になっただけであり、ソニー本体が倒産したわけではありません。ソニーの将来を見据えての経営判断であると平井一夫CEOも記者発表しています。

当サイトの別記事で、IBM社がパソコン事業をレノボ社に売却した当時のことを書いていますが、パソコン事業は競争の激しい業界で利益確保が難しいので、世界的企業のIBM社は、より利益の出やすい得意分野に注力するためにパソコン部門を売却し、現在でもIT業界では世界最大クラスの企業地位を維持しています。ソニーのパソコン事業売却も同様であるといえるのではないでしょうか。IBMがパソコン事業を売却したレノボ社の業績はどうでしょう。現在では、パソコン事業では世界NO1の地位を確立しています。

以下、「ソニーのパソコン事業売却に関する情報」と「2014年春モデルVAIO製品の情報」を記載致します。

◆ソニーのパソコン事業売却に関する正確な情報
2014年2月6日、ソニーの平井一夫CEOは、VAIO(バイオ)ブランドで展開していたパソコン事業部門を、投資ファンドの日本産業パートナーズに売却することを発表しました(2014年3月末までに正式契約を結ぶ予定)。目標としていた事業の黒字化が困難であり、ソニーの将来を見据えた成長のために決断したとのことです。

「予想以上に既存のパソコン市場が縮小した。特にタブレットに市場を奪われる中で、他メーカーとの競争も激化した。Windows8の登場によって市場が大きくなるという予測も外れた」と、平井一夫CEOは説明しています。また、VAIO(バイオ)ブランド製品については、「普通のパソコンとは違うデザインと機能を備えた常にソニーらしい製品だった。社員や関係者の努力と貢献で支えてきた大きなビジネスだったが、苦汁の決断をした」と、胸の内も述べています。

タブレットやスマートフォンといったモバイル製品が急速に成長した市場構造の変化を受け、モバイル領域のスマートフォン、タブレットに集中するべきと判断したようです。

◆関連情報
ソニーストア VAIO製品の販売に関するお知らせ

VAIO製品に関する重要なお知らせ

◆新会社が事業を継続
日本産業パートナーズは、これまでVAIO(バイオ)の一部製品を製造してきた長野県安曇野市(あづみのし)の拠点に新会社を設立し、VAIO(バイオ)ブランドをつけた製品の企画・設計・開発・製造・販売とパソコン事業全体を運営するとしています。当面は国内市場を中心として製品を販売していく方針のようです。

新会社のトップには、これまでソニーのパソコン事業を率いてきた業務執行役員SVP VAIO & Mobile事業本部の赤羽良介・本部長が就任することが決まっています。これまでソニーでパソコン事業を担当していた従業員1100人のうち250~300人が新会社に移る予定とのことです。また、円滑な事業立ち上げを推進するために、新会社の設立にあたり、ソニーが5%の出資をすることも決まっています。

ソニーのVAIO(バイオ)は、これまでにない用途を創出する斬新な機能や、洗練された外観デザインで親しまれてきました。パソコン関連雑誌には、「新会社が VAIOの魂を引き継ぐ魅力的な製品を生み出してくれることを期待したい」と、新会社への期待の声が多く掲載されています。

◆ソニーのVAIO(バイオ)
案外知らない方も多いのですが、ソニー製パソコンのブラント名「VAIO(バイオ)」とは、「Visual(ビジュアル)・Audio(オーディオ)・Intelligent(インテリジェント)・Organizer(オーガナイザー)」の頭文字をとってつけられたものなのです。コンピュータを暮らしの中に取り込めば、何ができるか、何が変わるかを具現化しようとした、ソニー精神を詰め込んだブランド名なのです。

ソニーは、世界ナンバーワンへの挑戦を繰り返してきた日本が誇る総合メーカーで、世界と戦える国産パソコンメーカーの地位を守り続け、カメラやディスプレー技術など、ソニーがもつ技術をすべてを投入して、独創的なパソコンを作り出してきました。

1997年にソニーが発売した「VAIO NOTE 505」は、銀色と薄紫のツートンカラーという斬新なデザインで、当時のノートパソコンのイメージを一新し、のちに「銀パソ」のブームを巻き起こしました。

2004年頃からVAIO(バイオ)は第2世代へと突入し、よりオーディオ・ビジュアル色を強めていきました。

2010年には東京・品川のソニー本社にあったVAIO(バイオ)部門が、長野県安曇野市(あづみのし)へと移転。この安曇野拠点は「VAIO(バイオ)の里」とも呼ばれ、ソニーパソコンの元祖ともいえるMSXパソコンなどを製造していた場所でもあるのです。安曇野で常に新たなテクノロジーの追及に力を注ぎ、「世界最薄、最小、最軽量」といった先進的でおしゃれなパソコンを世に出してきました。

ソニーのパソコン事業部門が日本産業パートナーズに売却され、多くのエンジニアは新会社のもとで製品開発に携わることになるわけですが、エンジニアたちの気持ちがソニーの精神を受け継ぎ、加えて、ソニーの名のもとにはできなかったことに挑戦する気持ちがあれば、新たなVAIO(バイオ)の誕生を私たちは目撃できるかもしれないのではないでしょうか。

◆最後の「ソニー製VAIO(バイオ)」は「折り紙パソコン」
最後の「ソニー製VAIO(バイオ)」となるのは、技術とチャレンジ精神が詰まった「折り紙」型2 in 1 (ツー・イン・ワン)パソコン「Fit A シリーズ」の2014年春モデルです。

「Fit A シリーズ」はスタンダードクラスの位置づけですが、「いかに一般ユーザーに変形機構を使ってもらえるか」ということを考え抜いて作られています。

液晶中央部から折れ曲がる構造で、「Duo 13」と同じで置いたまま変形できます。ゴム素材のヒンジによって天板中央で折れ曲がるという思いもよらない変形機構を実現しています。さらに、その機構によって現れる天板の「ライン」をデザインとして生かすという、まさに「機能美」あふれる製品として評価を集めています。ヒンジ部分の天板を見ると1本横にまっすぐなラインとなって見え、このラインを美しいデザインとして取り込んでしまうアイディアがすばらしいと高い評価の声もあります。スペック面でも、15.5インチの「Fit 15A」では、2880×1620ドットを選択できるのもVAIO(バイオ)らしいと言えるでしょう。

一見地味に見えますが、「ソニー製VAIO(バイオ)」の魅力を凝縮した最後の製品と言えるでしょう。

パソコン購入の参考になれば幸いです。

<< 「パソコンの賢い選び方」に戻る >>

<< New LaLaLaLand トップページに戻る >>

This entry was posted in パソコンの賢い選び方. Bookmark the permalink.

Comments are closed.