2013年4月現在、グーグル社が提供している「 Google ドライブ」は4GB(ギガバイト)、マイクロソフトが提供している「 SkyDrive (スカイドライブ)」は7GB、ドロップボックス社が提供している「 DropBox (ドロップボックス)」は2GB、ヤフー!ジャパン社が提供している「YAHOO! ボックス」は5GB …… etc。
ご存知の方も多いと思いますが、これらは「無料で利用できる」クラウドストレージサービスというもので、クラウドストレージ(早い話、各社が提供しているサーバーと呼ばれるコンピューター)上に、文書や写真などのファイルを保存できるというもの。共有設定や公開設定をすれば、限られた相手だけに、ファイルを見せたり共有できるという非常に便利なサービスで、年々、利用者数が増加しています。
「無料」と聞いて、飛びつかない人はいないほうが不思議とも言えるわけで。
例えば、インターネット・サービス・プロバイダの電子メールの料金ですが、1つは無料で提供され、2つ目から1アドレスあたり月額250円程度の料金がかかるものから、1つ目から有料になるプロバイダまで様々ありますが、無料メールサービスがあったら利用するのは当然の流れとも言えます。
メールボックスの容量が10GBまで無料で利用できるグーグル社の「 Gmail (ジー・メール)」においては、古いデータになりますが、2012年6月時点で、全世界で4億2500万人もの人が利用しているのはうなずける結果ではないでしょうか。
これらの無料サービス、各社の善意と解釈する人もいるかもしれませんが、これは「フリーミアム」と言って、「無料から収益をあげる」ビジネスモデルであり、企業の善意では全くありません。
具体的に説明すれば、「サービスや製品の基本部分は無料で提供し、追加機能、高度な機能、特別な機能を利用する場合には料金を課金して収益をあげる」、これが「無料から収益をあげる」ビジネスモデル「フリーミアム」の発想なのです。
「フリーミアム」は、無料サービスや無料製品の提供コストが非常に小さい場合に非常に有効で、現代、および、将来にわたり、特にIT関係の分野で盛んに行われると言われています。
なぜかというと、一言で言えば、IT関連技術の進歩が格段に進んだからであり、今後も進み続けるからです。
コンピューターに搭載される HDD (ハード・ディスク・ドライブ)の単価を考えれとよく理解できると思います。
HDD の単価は技術の進歩にともない急速に低価格化が進みました。1994年時点で、1GB(ギガバイト)あたりの単価が約80000円だったものが、1997年には約8000円、2000年には約800円、2010年には約8円になっているのです。
当サイト管理人も、昨年(2012年9月)に、1TB(テラバイト=約1000GB)の外付け HDD を約8000円で購入しました。約8000円÷1000GB=8円。前述したとおりのデータ単価に近いと思います。2013年現在は、もっと低価格になっていると思います。
そして、この HDD 単価の下落は、インターネット関連企業にとって大きなビジネスチャンスになっています。
2000年に利用者1人あたり 5GB の無料ストレージを提供する場合、当時の HDD 1GB あたりの単価は約800円なので、約800円 × 5GB = 4000円のコストがかかります。しかし、2013年現在の HDD 1GBあたりの単価は約8円なので、約8円 × 5GB = 40円となり、100分の1までコストが下がり、利用者1人あたり3960円もの差がうまれまでになっているのです。
無料サービス利用者が、有料の追加機能を申し込んだ場合、そこで黒字に転換となるのです。
DropBox (ドロップボックス)の場合、月額781円を支払うと100GBまでクラウドストレージサービスが利用できるようになります。この人が1年間(12ヶ月)有料サービスを利用し続けると、781円 × 12ヶ月 = 9372円 となるわけですが、この料金をDropBox (ドロップボックス)の無料サービス( 2GB まで無料)のコスト 約8円 × 2GB = 約16円で割ると、9372 ÷ 約16円 = 585人 ……つまり、1人有料サービスを1年間利用してもらえたら、ひと月585人分の無料コストをまかなえることになるのです。
全ての無料サービスが黒字運用になっているのかは断定できませんが、少なくとも、各企業の善意で無料サービスが提供されているわけではないことを理解していてもよいのではないでしょうか。
ちなみに、これら「無料で利用できる」クラウドストレージサービスに限らず、単体の事業としては赤字であっても、連動したサービスで黒字運用になる場合には、呼び込み水としての利用価値があるので、無料サービスを提供し続けている場合もあります。
私たち利用者は利用者のメリットを、企業は企業のメリットを考慮して、お互いに共存していくことが大切だと思います。
これで、あなたもプチ「フリーミアム」ツーですね。
よりよい PC Life の一助になれば幸いです。
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