加熱もしくは発火の恐れがあるととして、DELL(デル)が一部ノートパソコンに採用されている内蔵バッテリーパックのリコールを発表したのが2006年8月中旬。続いて Apple(アップル)社も一部ノートパソコンに採用されている内蔵バッテリーパックのリコールを発表。
その後、各パソコンメーカーの調査の結果、シャープ、富士通、東芝、日立、レノボでも一部ノートパソコンに採用されている内蔵バッテリーパックのリコールを発表。
そして、この原因となったのが「ソニー製の内蔵バッテリーパック」とわかり、2006年9月29日、ソニーは、発火の恐れのある同社製ノートパソコン用リチウムイオンバッテリパックの自主交換を全世界で実施することを発表しました。
NEC、ソーテック、マウスコンピュータ、松下電器の製品には対象となるソニー製の内蔵バッテリーパックを採用されていない、またHPの製品に関しては改良され、かつ、厳重なテスト後に製品搭載されており問題ないことを確認したため対象外メーカーとなります。
これらの情報は、テレビのニュース、新聞や雑誌、ネット配信ニュース、各メーカーのWebサイトのニュースなどで広く広報されたほか、個人のホームページや個人ブログでも多数取り上げられたため、多くの方が知っていると思います。
しかしながら、視聴者や読者の興味をひくことのみを、誇張して、個人的主観をいれて、断片的な情報だけを記しており、肝心な正確な情報記載がないことが少なくありません。
本来この問題は、内蔵バッテリーパック製造時に微細な金属片が混入することにより、充電池の内部でショートしたことが原因で、充電制御システムが正常に作動せず、想定以上の高い負荷がかかり加熱や発火につながったというのが真実で、発火に至るのはレアケースなのです。パソコン部品では最大規模のリコールとなったことで注目されていますが、一般ユーザーはさほど心配はありません。
ソニー製の内蔵バッテリーパックだから危険なのでもなく、内蔵バッテリーパックがリチウムイオン充電池式だから危険ということではないのです。ただし、発火の恐れがあるのは事実であるため、今回のリコール騒動になったのです。
この「ソニー製の内蔵バッテリーパック」に関する正確な情報は、各メーカーサイトのニュース、インフォメーション、お知らせ、サポートページなどに掲載されているので、自分の利用しているノートパソコンが対象製品であるかを確認したい場合は、各メーカーサイトで最新情報を確認するとよいと思います。この件に関する情報を各メーカーの情報掲載ページに直接リンクをはって紹介している個人サイトがありますが、情報が一報、二報、三報と変化しているにもかかわらず、一報だけのページだけにしかリンクをはっていないことが多いので、必ずメーカーのトップページからサイトに入ってから最新情報を確認することをおすすめします。当サイトのトップページなどに各パソコンメーカーへのリンク集があるので活用していただければと思います。
もう少しこの件に関して「リチウムイオン充電池」について補足解説します。
当サイト「PC Life エッセンス」コーナーの「電池の種類」にて各種電池のミニ解説をしていますが、「リチウムイオン充電池」のメリットは、デジタルカメラや携帯電話の薄型タイプに採用されていることが多いため、小さくてもハイパワーであるという点に注目が集まりがちですが、それ以外にも、使い切っていない状態で充電を繰り返していると、一部の容量しか機能しなくなってしまう「メモリ効果」と呼ばれる症状の心配をほとんどする必要がないというというメリットもあるため多くのメーカーで採用され、これだけ普及したという背景があるのです。
しかしながら、「リチウムイオン充電池」にもいくつか欠点があり、その最大のものが「シビアに充電過程を制御しなければならない」ということで、これをあいまいにたしり、制御がきかなくなると、加熱や発火をおこしかねないという危険性があり、今回のリコール騒動のようなことになるのです。
この欠点を解消するために、「リチウムイオン充電池」には「バッテリパック」単位で保護回路を搭載し充電管理と安全性を確保しているのです。そのため、コスト時に割高になることが避けれません。
別にもう1つあまり知られていない欠点として、「リチウムイオン充電池」は劣化しやすく、長期間の保存には向いていないことがあげられます。逆に、頻繁に電力消費と充電を繰り返しているほうが性能を維持しやすいのです。
また、熱や湿気も性能劣化の原因になるし、落としたりぶつけたりの外圧による変形も避けなければなりません。
某Webページやブログによっては、今回の問題につい、すべてを掌握しているかのごとくの口調で各メーカー批判に熱弁をふるっていたところがありますが、本題とは無関係な間違った内容を、さも正しいと思い込んで語り、ページを通じて配信されていたことは非常に残念でなりません。
今回の問題を知っている人の中には、リコールを実施しているメーカーのノートパソコンは買わない……とか、「リチウムイオン充電池」搭載のノートパソコンは買わない……などと思っている方もいるかもしれませんが、真実の情報を知れば、さほど心配する必要はないことがわかるはずです。
また、今回の問題を逆手にとれば、「世界規模でリコールを実施したり、対象製品は勿論のこと、全ての製品に関して再検証している現在だからこそ、安全なパソコンを手に入れることができる」とも解釈できるのではないかと思います。
加えて、このような各種製品の問題が発生することを前提に考えれば、製品を購入し問題が発生しても、メーカーの担当部署から直接連絡がとれるように、面倒がらずにメーカーへの「ユーザー登録」をしておくことをおすすめします。
よりよい PC Life の一助になれば幸いです。
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