【第75回】2016年、無線LAN機能に注目してパソコンを買う

現在発売されているノートパソコンには「無線LAN」機能が標準搭載されている機種がほとんど、と言っても過言ではありません。今回は、そんな「無線LAN」について解説します。

ここでマメ知識!

ここ何年か、特に気になることの1つに、「Wi-Fi(ワイファイ)」という言葉が「無線LAN」を意味していると思い込んで普通につかわれていることがあります。言葉の意味を正確に理解した上で便宜的に「Wi-Fi(ワイファイ)」と言っているのであればいいのですが、その意味の違いすら理解しないまま「Wi-Fi(ワイファイ)、Wi-Fi(ワイファイ)」とつかっている人が非常に多く違和感を感じざるを得ません。

本当の意味では、「無線LAN」と「Wi-Fi(ワイファイ)」を同義に扱うことは正しくありません。当サイトにおいては、正確な解説をするために、まず最初に「無線LAN」と「Wi-Fi(ワイファイ)」の違いについて解説します。


◆「Wi-Fi(ワイファイ)」とは

「Wi-Fi(ワイファイ)」とは、無線LAN製品の互換性を証明する規格のこと。無線LAN普及を目的として設立された業界団体である「WECA (= Wireless Ethernet Compatibility Alliance = 現在はWi-Fi Alliance に改称)が、無線LANの消費者への認知を深めるために策定した規格のことなのです。無線LAN対応製品の相互接続に関するテストをパスした製品に「Wi-Fi(ワイファイ)」ブランドの認定を与え差別化を図っているのです。

無線LANの世界規格はあるものの、少し前の時代だと、メーカーや製品が異なると同じ無線LAN規格でも無線通信が確立しなかったり、無線接続が不安定なことが多かったため、無線LAN製品の互換性を証明する規格として「Wi-Fi(ワイファイ)」規格が登場しました。以前なら、A社の無線LAN搭載パソコンが、無線LAN規格が同じなのに、B社の無線ルーターに「なぜか接続できない」ということもありえたのです。

製品パッケージに「11b、11g、11a、11n、11ac」のWi-Fi(ワイファイ)」認定が表記されていれば、「11b、11g、11a、11n、11ac」の互換性、言い換えれば、認定機器同士なら安定した接続が期待できることを証明しているのです。もし、ある製品が「11b、11g、11a、11n、11ac」対応ルーターだとしても、「Wi-Fi(ワイファイ)」認定が「11b、11g、11a」だけなら、「11n、11ac」は「Wi-Fi(ワイファイ)」認定されていないので、無線接続が出来なかったり、接続が不安定になる可能性もあることを意味しているのです。

余談になりますが、有線LANでも似たようなことはよくあります。A社のルーターにB社のパソコンをLANケーブルで接続するとIPアドレスが取得できないためインターネットができない。同じLANケーブルにC社のパソコンを配線すると正常にIPアドレスが取得できインターネットもできる。B社のパソコンの不具合かというと、そうでもなく、D社のルーターにB社のパソコンを配線すると問題なくIPアドレスが取得できる。この場合、A社のルーターもB社のパソコンも故障しているわけではなく、「相性の問題」なのです。このような場合、パソコンメーカーのB社はHUB(ハブ)とLANケーブルを対策用として無償配布し、相性の悪いA社のルーターを利用する場合は、ルーターに無償提供したHUB(ハブ)を間にはさんで配線しB社のパソコンを利用するように提案する事例は数多く確認されています。


◆無線LAN規格について

無線LANの規格は以下のようになります。
IEEE802.11b (アイ・トリプル・イー・ハチ・マル・ニ・テン・イチイチ・ビー)
IEEE802.11g (アイ・トリプル・イー・ハチ・マル・ニ・テン・イチイチ・ジー)
IEEE802.11a (アイ・トリプル・イー・ハチ・マル・ニ・テン・イチイチ・エー)
IEEE802.11n (アイ・トリプル・イー・ハチ・マル・ニ・テン・イチイチ・エヌ)
IEEE802.11ac (アイ・トリプル・イー・ハチ・マル・ニ・テン・イチイチ・エー・シー)

単純に「11b、11g、11a、11n、11ac」とか、更に簡略されて「11b/g/a/n/ac」と記載されている場合もあります。規格は11b→11g→11a→11n→11acの順に成立しました。

規 格 名   周波数帯    最大速度(理論値)
IEEE802.11b  2.4GHz      11Mbps
IEEE802.11g  2.4GHz      54Mbps
IEEE802.11a   5GHz      54Mbps
IEEE802.11n  2.4GHz / 5GHz  600Mbps
IEEE802.11ac   5GHz       6933Mbps


◆パソコンに搭載されている無線LAN規格に注目はするのだが……

上記が無線LANの基礎知識になります。それぞれの規格を比較し、最新規格で速度の速い「IEEE802.11ac」機能を有する製品がいいかというと……。

結論を最初に言えば、パソコンを買う場合「無線LAN機能が搭載されているか、無いか。一応、どの無線LAN規格なのか」程度がわかれば、現在においては特に問題はない、これが当サイト管理人の見解です。

理由はいたって簡単!

最新規格の「IEEE802.11ac」は確かに6933Mbps(理論値)……約7G(ギガ)の速度にはなっていますが、そのことを気にする以前に、自宅に「IEEE802.11ac」対応の無線ルーターがあるのか! それ自体が問題になります。いくらパソコン側が最新規格の「IEEE802.11ac」搭載だとしても「IEEE802.11b」の古い無線ルーターを使っていたのでは「11bの11Mbps(理論値)」の速度しかでません。また、専門的なお話にはなりますが、「IEEE802.11acで6933Mbps(理論値)」の速度をだすには、複数のアンテナ利用のMIMO (マイモ = Multiple Input Multiple Output)技術でパソコン1台のみ利用した場合の速度であり、複数台のパソコンが同時に同じ速度を出せるわけではありません。加えて、パソコン側がMIMOに対応している必要がありますが、現在販売されている多くのパソコンに標準搭載されている「IEEE802.11ac」無線LANはMIMOに対応していないので、そのままでは「6933Mbps(理論値)」の速度は出せないのです。

また、仮に、パソコン側も無線ルーター側も最新の「IEEE802.11ac」のMIMO対応で「6933Mbps(理論値)」の速度がだせたとしても、提供されているインターネット回線速度が100Mbps、200Mbps、1Gbpsなので、「IEEE802.11ac」の「6933Mbps(理論値)」の通信速度はでません。多くの回線は複数の利用者でシェアしているはずなので、100Mbps回線で100Mbpsでることはありえまないし、1G回線も同様です。NTTやインターネットサービスプロバイダの提供する通信速度が、まだまだ「IEEE802.11ac」に対応できていないので、必ず「IEEE802.11ac」機能搭載のパソコンでないといけないというわけではないのです。

さらに加えて言えば、メールやWebページの閲覧だけなら1~2Mbpsの通信速度でも特に問題はありません。最近は動画配信もありますが、5~10Mbps、高精細な動画でも10~20Mbpsの速度があれば特に支障はないはずです。それと、スマートフォン、タブレット、無線プリンタがある場合、無線ルーターを最新の「IEEE802.11ac」対応にした場合、無線ルーターの仕様によっては、今まで利用できていた無線機器が「逆に最新無線ルーターの規格に対応していないために使えなくなる」という場合もあるので、導入の際は十分、仕様を確認してから導入することが大切です。

最後に、自宅で無線LAN環境を構築する際、一番重要なことは、通信速度より「安定したつながりぐあい」だと思います。

パソコン購入の参考になれば幸いです。

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